前衛下着道ー鴨居羊子とその時代

現在川崎市岡本太郎美術館で開催している『前衛下着道』を訪問。
多摩丘陵にある生田緑地内に位置する。同じ敷地内には、日本民家園と青少年科学館。
科学館には、日本最高齢のプラネタリウム解説員がいらっしゃったが、引退。
現在改装中。報道ステーションでやっていた。


常設展と企画展が同じチケットになっている。
まずは、常設展。岡本太郎の絵画、立体。
明日の神話』の絵画もあり。
『坐ることを拒否する椅子』『ひもの椅子』



初めて知ったのが、陶器を作っていたこと。
縄文土器を意識したゆがんだ形、そして、複雑な色。
横から細長い窓を通して見ることのできる展示。
彼の旺盛な創作意欲と膨大な仕事を確認。



芸術は爆発だ』のMAXELLのTVCMも見られる。
消費されない人は消費されないのだ、と思う。



次に鴨居羊子
絵画を中心に展示。
『リボンリボンリボン』が気に入る。
寄り目の一人の少女が猫を二匹両手に持つ。
一人と二匹ともの青いリボンがついている。
その後ろの壁にかかっている絵にも少女に二匹の猫。
騙し絵のようになっている。

描かれるのは、一人の人間と動物たちが多い。
サーカスがモチーフなことも多い。

絵画をみているとスキャンダラスなイメージよりも
内気な少女の姿が見えてくる。
人間よりも動物を信頼しているような。
フジコヘミングを思い出す。
ともに、クリスチャンで海外生活をしていたな。


次の部屋は細江英公が撮った写真。
『花泥棒』
プリントがあまりにきれいでびっくりする。
Rによると細江氏のこの時期の写真と違い非常に粒子が細かいという。
人形の質感が手に取るように見える。視覚でなでることができる。
土俗的でユーモアがある。



岡本太郎鴨居羊子の接点。
岡本太郎が『芸術新潮』で連載していた「芸術風土記」で大阪を
訪れた時に、チュニックのショーを撮影していたらしい。



鴨居羊子が作っていた人形は、土偶にも似ている。



唐ゼミが昭和30年代の長屋のセットにチュニックの下着や人形を展示。
あまり面白くないと思う。
結局30年代に回収されしまう。彼女の立ち位置はそこにはないと思う。
時代の要請か、男社会で生きるためか、理論武装もしているが、
彼女の魅力は尖り方と繊細さのバランスだ。
時代を超えて、女性が女性であることを忘れずに「男らしく」
仕事をしていくためのひとつのモデルである。
北原みのりも『鴨居羊子の世界』で書いていた。
会社の中でどうやって「男らしく」女性が仕事をしていくことが
可能か。
鴨居は作品をアートと呼ばず、ビジネスと呼んだ。
言葉の変換により、守れるものはあったのだろうか。




映画『女は下着でつくられる』
全編視聴可能。映画というより、チュニックのPRのような出来ばえ。
ただ、当時の空気感は伝わってくる。
そして、当時の女性の体型が今とあまりにも違う。
肉厚で、手足が短い。農耕民族という姿。
登場する女性たちはチュニックの下着を身にまとい、
しなやかで、はなやか。
女性に自由な下着を自由な場所で身につけてほしいという彼女の望みが
そこでかなえられる。

チャーミングでセクシーに終始いることのできる場所はどこにあるのだろう


鴨居羊子の世界

鴨居羊子の世界