図書館の所蔵状況と読者層との関係

7月前半は地元横浜の中央図書館と区図書館を行ったりきたりしていた。なぜかというと、ちょうどフェアを2つかかえていてその選書やPOP用の資料集めとして。

色川武大森巣博桜井章一寺山修司を集中的に探す。

色川武大
文庫本を探していたらなかなか所蔵されていなく、不思議に思うと全集がでていた。全集の威力はすごい。中央図書館はもちろん区図書館17館あるうちの6館に所蔵されている。しかも最寄の港北図書館では開架である。図書館はきっと全集は意識して購入しているのだろう。だが、『色川武大阿佐田哲也全集』(福武書店)は文字通りすべて収録されていないそうで、要注意。巻頭にはたいていメジャーな作品が収録されていて、貸出状況をみているとその作品の人気に関係しているみたいだ。あまりにもおもしろくて全集に読み耽って、帰宅後文庫版を調べてみると意外にも版切が多く残念に思う。全集はもちろん版切だし、文庫でも手に入らないとなると本当にコアなファンしか読めなくなってしまう。最近の文庫の切れかたが激しすぎる。でも、文庫がなくなっても全集があれば、図書館で絶対に読めるということもできる。全集ってやはりすごい。

森巣博
図書館の所蔵率が高い。内容は硬派な社会問題。I波書店のHさんも読んでいるそうなので読者の年齢層が高いのかもしれない。大メディアではなかなか流れない情報が書いてあるので読む価値が高い本だと思う。

桜井章一
一番驚いたのは桜井さん。だって調べてみると横浜市全館で9作しか所蔵されていない。アマゾンで著者名で検索すると52件のヒット。試しに森巣博さんで検索すると、アマゾンでは36件、図書館では23件。単純計算で、森巣さんは著作のほぼ65%が所蔵されており、桜井さんは15%ほど。この差は一体?所蔵数の少なさのせいか、予約数が半端ではない。『努力しない生き方』(集英社新書)では32、『負けない技術』(講談社+α新書)にいたっては41も予約が入っている。(2010.7.27現在)ブックオフでもよく流通しているのをみると、読みたいんだけれども(定価で)買うほどではない。しかも急がないといったところか。

寺山修司
やはり短歌集などは中央図書館がメイン。一連の角川文庫は地方の図書館に多く所蔵されていた。区図書館の利用者に中高生が多く、要望も多いのだろう。こういうのを知るとほっとする。まだまだ中高生も本を読んでくれているのだと。


以上はわが師植島先生の『生きるチカラ』の刊行記念フェアのために図書館を利用して感じたことをまとめた。ちなみにまだ『生きるチカラ』は所蔵されていない。17日発売だから当たり前か。
結局このフェアも実際やってみると完成度の低いフェアだったなあと思う。頭の中で考えた選書とレイアウト、POPを実際やってみると良くないことがある。やってみないといつもわからない。うまく3次元でイメージできればいいのだけれど。



せっかくなのでオススメの本

生きるチカラ (集英社新書)

生きるチカラ (集英社新書)

無境界家族 (集英社文庫)

無境界家族 (集英社文庫)

うらおもて人生録 (新潮文庫)

うらおもて人生録 (新潮文庫)

書を捨てよ、町へ出よう (角川文庫)

書を捨てよ、町へ出よう (角川文庫)